top of page

​Top 往生際カタログ ➢ 芥川龍之介

芥川 龍之介

1892~1927

​あくたがわ りゅうのすけ 小説家

享年35

 

「羅生門」「鼻」など

古典文学を下地に

ミステリアスな世界観で

人間心理の複雑さを

表現した小説家。

死因は服毒自殺、遺書には

「ただぼんやりとした不安」

という動機が記されています。

芥川は晩年、死の前兆と

される「ドッペルゲンガー」

(姿形が全く同じ己の分身)

に出会っています。

服毒自殺の2ヶ月前、

新潟で行われた

講演会「ポオの一面」

記録のなかで、その

ドッペルゲンガーについて

​語っています。

 

       ()内訳注

司会

ドッペル・ゲンゲルの經驗

(経験)がおありですか。

芥川

あります。

私の二重人格は

一度は帝劇に、

一度は銀座に現はれました。

司会

人の錯覺でせう。

或は(あるいは)

うつかりしてゐて人違ひを

するのぢやないですか。

芥川

さういつて了へば

(そう言ってしまえば)

一番解決がつき易いですがね。

中々さう云ひ切れない事が

あるのです。

司会

頭のいゝ人や想像力の豐かな

人ほど(錯覚が)大きいと

云つてゐる人が

あるのですがね。

芥川

さうでせうなあ。

精神病者は最も進んだ

人間だと云つていゝですね。

 ≪ 皆な暫く沈獸

  (しばらく沈黙)≫

bottom of page